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馬に3時間程揺られて城下町に到着した私とペットショップとおまけ一人。・・・・・・3時間も乗っててちょっとお尻痛い しっかし、相変わらず人がいっぱい居るわねぇ。歩いていると肩が人にぶつかって痛い。 数が半分ぐらい減って無くなればちょうど良い具合になるのに。 それにしても・・・・・・ 「ペットショップ?」 さっきからペットショップの様子がおかしい。 後ろをチラチラと振り返って、何か気になるものでもあるのかしら? ちゃんと集中してもらわないと困るわけだけど。 零落れた貴族の中に魔法を使ってスリや強盗の犯罪を企てる社会不適格者が居るから、そんな駄目人間の魔の手が私に伸びないようにしなさいよ!って道中で散々話したのに。 まあ、良いわ。アホ鳥がしっかりしてないなら。私がその分しっかりしてれば良いだけだし。 え~っと、この曲がり角の路地裏だったわね? 変な臭いがするしゴミや汚物が道端に転がってて汚い所・・・・・・平民の中にさえも入る事が出来ない爪弾きに相応しい場所ね。 こんな所に居ると体が腐りそう、とっとと用事済ませなくちゃ。 確か、あの四辻あるピエモンの秘薬屋の近くにあったような。 ・・・・・・後ろをちょっと振り向いてみる。 ニコニコ 奇妙な笑みを浮かべたギーシュが私の後ろに着いて来てる。これなんてストーカー? ・・・・気にしてもしょうがないし、放っとこ放っとこ。 そして前を向こうとした瞬間。 ドン 「気を付けろガキッ!」 小汚い身なりをした男が私の体にぶつかった。 小柄な私はそ衝撃にたたらを踏んでよろける。 痛たた。前見て歩きなさいよね!・・・ン?懐が・・・ 考えるより先に、捨てゼリフを残してその場を去ろうとする小汚い男の指を私は掴んだ。 ポキッ 指が曲がってはいけない方向に曲がり、小枝を折るような音が辺りに響く。 「へぇっ?」 呆けたような声を出す男の顔。 その声に反応する事無く、私は指を引っ張りながら、男の足を蹴り払った。 グルン!ドンッ!ボクン! 面白い程無様に1回転した男は勢い良く地面に叩き付けられ。 掴んだままの手を捻り、足の助けを借りて男の肩を外す。 肩の激痛と地面に叩き付けられた衝撃で息が詰まったのか、ヒュウヒュウと喘ぐ男の無事な方の手から――――私の財布が零れた。 (この肥溜めで生まれた玉無しヘナチンの癖に私の財布を! そのシリの穴フイた指でぎろうなんてぇ~~~~~~~っ!! こいつはメチャゆるせないわねぇぇぇ~~~っ!!!) 貴族様からスリをしようなんて不届き者はどうするべきか? コンマ数秒で行われた脳内会議は満場一致で笑顔の死刑判決。 体格的な問題でアルゼンチンバックブリーガーはできないのが残念だけど その代わりに、ヘドぶち吐けッ!とばかりに即、男の顔や腹に蹴りの連打を見舞った! 何故かギーシュまで参加してるけど関係無いわ!死刑執行! ガッガッガッガッガッガッガッガッガッガッ!!!!! 路地裏に響き渡る破砕音と男の悲鳴。 「ふぅ」 数十秒後、良い汗を拭って何事も無かったかのように歩き出すルイズと従者一人と一羽。 歩き去ったその場所には顔の穴全てから黄色い汁を垂れ流してピクリとも動かない男だけが残った
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「おい、大丈夫だろうな…」 首なし騎士は片手をあげOKサインを出す。 「よし、急ぐか」 「…あ…あの」 後ろから声をかけられた。小さな声だ。 声の主は小柄な少女。明かなに病弱そうな見た目。強い風が吹けば倒れそうな印象すらある。 とある都市伝説から彼女を助けたことで知り合った仲だ。 「なに?」 「何かを警戒してるようですけど……」 はい、してます。 「いや、なんでもないよ」 「そう…なんですか?」 疑惑の目、明らかに疑っている。 しかし、彼女はあのとき何をしていたのだろうか? 化学準備室で骨格標本にかぶりついていたが…… 「そういえばさ、あのとき何してたの?」 彼女の疑惑をごまかすついでに質問してみた。 突然の質問に彼女はビクリと肩を震わした。 「あ…あれは…その……美味しそうだったもので…つい…」 てへへとでも言いそうな顔。 「…あ、そう」 だが、返事に困る答えだった。 「あ、そうだ。早く行こう」 そう、こんな所でもたもたしている暇は無いのだ。 夢の国、もしくは組織に見つかりでもしたら大変だ。 「って、首なし騎士、何やってんだ?」 先頭に立ち、見張り役をしていたはずの首なし騎士。 それが気づいたら俺達の一番後方にいたのだ。 「おい、首なし騎士」 呼びかけても反応がない。 ある一方向に体を向けたまま微動だにしない。 何かを見つけたのだろうか? まさか…夢の国か組織の黒服か…… 恐る恐る首なし騎士の視線の先を……正しくは体の向いている方向に視線を向ける。 その視線の先にいたのは………普通の人だった。 20代前半程度の普通の男。髪は長め、身長は高め。 だがやはり普通の人だ。首なし騎士はどうしてこの男を見つめて(いや、頭無いけど)いるのだろうか? 「おい、首なし騎士…なんで……」 そのとき、首なし騎士が剣を抜いた。 そして馬を走らせる。その男めがけて。 「っておい!まて!」 俺の制止を無視して首なし騎士は突き進む。そして、その男の後ろから切り掛かる。 思わず目をつむってしまった。 おそらく次に聞こえてくるのは、その男の悲鳴。 しかし、実際に聞こえてきたのは、金属どうしのぶつかり合う音であった。 「………ん?」 目を開けたとき、その場の光景に俺は驚愕した。 その男は小刀(で合ってると思う)で首なし騎士の剣を受けていたのだ。 ただ者ではない…… 「この太刀筋、おぬし…あの国で戦ったないと、とやらか…」 ああ、うん………普通の人ではないのは確かだ。 なんとも特徴的な話し方の男。 何より、後ろから切り掛かられたはずなのに…… 「首を失ったというのに再度勝負を挑むとは……その心意気やよし!」 ん?今何か言ったぞ。首を? もしかしてこいつ……… 「いいだろう……その再戦受けてたとう! 勝てたら首を返してやらんこともないぞ。こい、鎧武者!」 お、おい、首って言ったぞ。 男の叫び終わると、蹄の音がこえた。 聞き慣れた音だ。首なし騎士が馬に乗っているから日常的に聞いてる音。 そして現れたのは、まさに鎧武者。 時代を一切無視した光景がそこにあった。 前ページ次ページ連載 - 首無し騎士の契約者
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黒の追憶 草原に男の悲鳴が響く。倒れた男の横に立つのはおぞましい鎌を手に持つ少女だった。 メルザの身に降りかかった 苦難と絶望 それらは少女一人で 受け止めるにはあまりに重く 痛みを伴う物だった そして、その痛みは 彼女の在り様をも歪め ひとりの騎士を死神へと 変貌させるに至った 【???】 ぎゃあぁぁー! 【メルザ】 私は… 何をしているのだろう 破神の手先 人間の裏切者 みんなの笑顔の為に 頑張っていたハズなのに あなたたちは騎士だろうと 死神だろうと変わらないんだね 心なき戦い 相手が誰であれ、縄張りを犯す者を攻撃する魔獣たち、たとえそれが死神でも… 刈り取るモノ 命の火を次々に消し去っていく死神。それが何であろうと彼女の心は動かない。 足りなかったもの 魔獣を退けた彼女は昔を懐かしむ。しかし、その顔は暗く沈んでいた。 【メルザ】 こうやって 神なんかとは関係なく あなたたちと戦っていると 昔と変わらないような 気がしてくるわね… でも 今の私はこっち側 理由なんか関係ない みんなの希望を 刈り取っている 何でこんな事に なったのだろう… 決まっている チカラが 足りなかったからだ 周囲の人たちを みんなを 守るチカラが 私には無かった… 誰にも届かない言葉 自分の無力さに膝をつく彼女。自身を責める少女の言葉は、雨音にかき消される。 雨に濡れる顔 雨の中うなだれる少女。その悲痛な顔は叫び出さないのが不思議なほどのものだった。 白 過去の自分はなぜあんなことを… 自問自答を繰り返す彼女に声が聞こえてくる。 【メルザ】 何で神に挑もうなんて 思ったのだろう 何で勝てると 思ったのだろう 身の程を知った 今の私にできる事は みんなの為に みんなの笑顔を奪うこと 【???】 本当に? 【メルザ?】 みんなの為なら 今からでも もう一度 破神に挑むべき じゃないの? 【メルザ】 あれは、あの絶望を知らない まだ白い私だ 真っ白な 希望を持っていた私 【メルザ?】 ふたりを奪われて 黙っているの? 【メルザ】 聞きたくない 【メルザ?】 みんなの笑顔を奪われて 黙っているの? 【メルザ】 うるさい… 【メルザ?】 あなたは本当に私? 【メルザ】 黙って!! なっ! 自分の陰 過去の自分。その姿を現すメルザ。しかし、その周囲には魔獣の姿しかなかった。 その目の先 仲間を倒されたことに激昂する魔獣たちしかし、彼女の目にその姿は映らない。 希望を摘む者 魔獣を倒し、白い自分に意識を向ける。そこに、またもや声が聞こえてくる。 【メルザ】 はぁ…はぁ… あの白い私は… 【メルザ?】 あの私は 何もわかっていない 【メルザ】 また…! 【メルザ?】 自分に何が起こるか どれだけ無謀な事を 望んでいるのか あなたは何も間違っていない だってしょうがないもの 神に挑むなんて 最初から無謀だったのよ 私はあなたの味方 同じ絶望を知っている みんな守るなんて無理よね みんなの幸せなんて知らない 破神の言う通りに していればいい だって、私が 一番かわいいんだもん どうしたの? 何か気に障った? 【メルザ】 私は、みんなの為に… 【メルザ?】 違うでしょ? 私の為に みんなを不幸にするのよね? 【メルザ】 違うっ! みんなの為に、希望を摘むの! 希望以上の絶望が みんなを襲わないように! 自身の決意を 再び確認するように 自分の陰を切り伏せるメルザ 彼女はこれからも人々の希望 破神への反逆の芽を摘み続ける もうこれ以上、自分と同じ 悲劇を生まないために
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「赤いはんてんよ」 「あぅ?何ですか?」 「降りてくれると、ありがたいのだが」 ちょこんっ 新聞を読んでいる赤マントの膝の上に座っている赤いはんてん あぐあぐ 美味しく、エクレアを味わっている トイレで食事するのはどうかと思われるが、某地方では新築の家のトイレで食事する習慣があるそうなので問題ないのだろう 多分 「あぅ、これくらいいいじゃないですか。ケチケチするななのです」 「新聞を読むのに、邪魔なのだが」 そう言いながらも、赤マントは赤いはんてんを、無理にどかそうとはしない 赤いはんてんも、それに甘えて降りようとしない 見る人が見れば「このロリコンめ!」とか「リア充乙」とか言われそうな光景だ 「ふむ…物騒な事件が多いな」 「あぅあぅ、この街は都市伝説が生まれやすいのですよ。 私たちみたいな古参以外にも、ぽこぽこと生まれていっているのです」 「やれやれ、私たちのように平穏に行きたい都市伝説には、いささか面倒な事になってきたな」 ため息をつく赤マント 赤いはんてんは、そんな赤マントをじっと見上げる 「それじゃあ、引っ越すですか?」 「そう言う考えもありだが…そうなると、君が花子さんと会いにくくなるだろう?」 赤マントの、その言葉に 赤いはんてんは、あぅ?と首をかしげる 「どうして、私がついていくこと前提で話してるですか?」 「む?…付いてきてはくれないのかね?」 赤マントと、赤いはんてん 長い間一緒に生きてきたが、本来、同じ場所に存在する都市伝説ではない 二人ともトイレがテリトリーではあるが、この二人の都市伝説が、同じトイレに同時に存在する事はまずないのだ ---だから 赤マントが、この学校を、この街を、離れたとしても 赤いはんてんが、ついていかなければならない理由は、存在しない 膝の上に座ったまま、じっと赤マントを見上げる赤いはんてん やがて、にっぱり、笑ってみせる 「大丈夫なのです。ちゃんと、ついていくのですよ。 赤マントがいないと、毎日が退屈になって仕方ないのです」 「…ふむ、そうか」 もふもふ まるで、子供相手にするように、赤マントは赤いはんてんの頭を撫でた 赤いはんてんは、満足そうに笑う 「あぅ、惚れちゃ駄目なのですよ?」 「惚れんよ、君のようなロリババア。私のストライクゾーンから若干外れている」 ……… ………… …………… しばしの、沈黙の後 赤いはんてんは、にっぱり笑って…はんてんを、裏返した 赤マントの膝の上に乗ったまま、青いはんてんに変身する 「む、ますます新聞を読みにくいのだが」 文句を言う赤マント その襟首を、問答無用で掴む 「っの、ど変態がっ!!!!」 「ぐぉ!?や、やめたまえ! 私は戦闘的な能力は持っていないのだ 暴力に頼るのは野蛮だぞ!!」 「問答無用!!!!!」 ごっ!! がす!!! どかばきっ!!!! 深夜の学校の女子トイレ その、一角にて 何かをひたすら殴り続ける音と、男の悲鳴が一晩中、響き渡ったのだそうな 終わっちまえ 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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かたつむり 成人して10年ぐらい過ぎた男が、カタツムリを採ってきた。 「かたつむりなら、ビンで飼えるから、今年から繁殖させるんだー」、と息巻いている。 バカだなー、とは思ったが、この男が「生き物を飼いたい」と毎日のように言い続け、 その度にうちのアパートがペット禁止であることを説明するのに疲れていた俺は、 静観する道を選んだ。カタツムリでペット飼いたい病が治るのなら、安いもんだ。 男は、大きなビンに土だの木だの落ち葉だのを入れて、さっきから眺め続けている。 「…なぁ、飽きないのか?」 「飽きないっすねー。この触覚が出たり入ったりするだけで、興奮するっす」 男は、鼻歌を歌いながら、手に持った霧吹きを、ビンの中へ噴射する。 「…なぁ、繁殖させるって、オスとメスの見分けはついてんの?」 「バカだなぁ。かたつむりには、オスやメスなんて無いんっすよ。雌雄同体っす」 「…へー…」 「かわいいんすよ、カタツムリの子供は。こんな耳糞みたいな大きさなのに、ちゃーんと 殻もって生まれるんで。生命の神秘ってやつっすよ」 俺は、カタツムリに釘付けの男に、何となく面白くない気分になった。 「…なぁ、せめてこっち向いて話さね?」 「今俺の心の99%はカタツムリが占めてるんで、無理っす」 足をバタバタさせながら、さらに瓶の中身に釘付けの男に、俺はさらに面白くない気分に なった。手を伸ばして、右足首をつかむと、さすがにギョッとしたのか、男が振り向く。 「ちょっ、何するんすか」 「すーすー煩い。ちゃんとした日本語喋らないから、ちょっと教育的指導を行う」 「殴るのは無しっすよ!」 「殴らない。エロいことするだけだ」 抵抗する左足も捕まえると、男は悲鳴をあげた。 何度もしている行為なのに、いまだ慣れない男に、俺は嗜虐的な気分になってくる。 そう。だいたい、俺の部屋で居候している分際で、別の生き物にくぎづけのコイツが悪いんだ。 床に組み敷くと、男は裏返った声で、叫んだ。 「あー! 先輩、そういや、かたつむりって、雌雄同体なのに、どうしてつがいで飼うか 疑問じゃないっすか?!」 「全く興味無い」 俺が切り捨て、服を脱がそうとすると、骨ばった手が必死の抵抗をした。 「興味持ってくださいよ! あの、カタツムリは、つがいじゃないと卵産めないんですよ。 ある意味同性でエッチしているようなもんなのに、どっちかが卵生むなんて、どうやって 決めるんだろう、とか気になりません?」 「そのうるさい口を閉じろ」 「おねがいですから、これだけ話させてください」 うるさいので、俺は手を止めて、男の顔をのぞきこんだ。 「くだらなかったら、ちょっと手ひどいことをする」 「怖ぇー! いや、そんなのじゃなくて…。あの、カタツムリって、同性でエッチした後、 両方とも妊娠するんですって。で、二人仲良く卵生むんですって。これって、ある意味 完成された愛の図だと思いません? 二人仲良くエッチして…ね?」 「…それで?」 「だから、俺らも、二人仲良く…たまには俺、下じゃなくて上になりたいんすけど…」 その後、俺の部屋には、男の悲鳴が響いた。 ちなみに一週間経った今も、俺達はカタツムリのようなカップルにはなっていない。 かたつむり
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「メガロポリスは、六つのエリアに分かれている」 老人は、窓の外を眺めつつ語る。 「それぞれが螺旋になって、最深部……中央都市へと行く道になっておる。必然的にすべてのエリアを通ることになるだろう。エリアには……蛮族も徘徊しとるし、おぬしと同じ人間もいるじゃろう。いいか、下手なことはせんことだ」 「下手なこと?」 老人の背後に立つ男が一人。 「お前さんが目指すメガロトーナメントじゃが……もちろんお前さん以外の参加者があそこを通る。わかるか、あそこは都市部以外は“無法地帯”だ。都市部へ行くあの道、それ自体が“予選大会”なんじゃ……」 「……っ…はは……ははははは…」 男が笑い出す。 「……何がおかしい」 男は笑みを浮かべながら言った。 「……愉快だな、この世界はよ」 第二話『男、思い出す』 「ぐあぁぁぁぁあああああああああっ!!!」 悲鳴が風の唸りとともに、荒れ果てた大地に響いた。 男の悲鳴だ。 耳をつんさくそれに満足できないのか、盗賊は三度、鞭を振るった。 「や、やめてくれっ! それは大事な資源なん……ぐあぁっ!!」 鞭が唸り、別の男がまたうつぶせに倒れる。 盗賊は男たちを怒鳴り散らした。 機械的な声でだ。 盗賊ロボ「貴様等…俺たちにたてつくってのはどうなんだ!! ああ? 」 男1「だ、だが…この石油はやっと掘り当てたんだ! 冬に向けて貯めなけりゃ……」 盗賊ロボ「うるせぇ!! てめえらはクズだ、水気を含んだ果物と同じだ。生臭せぇしきたねぇ……害虫め!! そこらへんで……ぐちゃぐちゃにしてやろうかぁぁ!!」 ???「……果物だぁ? 俺にもよこせや…」 この場にそぐわない、呑気な声。 一人の俺が、ゆらゆらと怪しい足取りで盗賊ロボに近づいた。 盗賊ロボ「…おい、貴様。どこから」 ???「あ、これ…なんだ? 水か?」 ドラム缶に溜まった液体を掬い、それを飲む男。 中身は石油なのだが。 ???「…まずいぞ、すんませーん」 盗賊ロボ「馬鹿かてめぇはっ!!」 ???「ぐっ!?」 鞭が男の頬を弾き飛ばし、男は体ごと宙に浮き、地に叩きつぶされた。 男の頬に伝わる、赤い大地の暑さと、鞭の痛み。 盗賊ロボ「もうてめえら容赦しねぇぇ!! みんな死ねやぁぁぁあ!!」 鞭が人々を襲う。 悲鳴。 ???「あーー……」 男は思い出していた。 三年にも、同じことがあったのを。 「うぉおおおおらああああああああああああ!!!」 「せぇやあぁぁぁあああああああああああああ!!!」 大地が割れ、空が裂けた。 2つの拳が生んだエネルギーは、壮大なうねりとなってぶつかり合った。 男は互いのプライドを載せた拳を、二本の足をしっかり踏み込め、ぶつけた。 やがて、弾け飛んだ。 「――ぐっっはぁぁあああああああああ!!!」 弾け飛んだ体。 叩き伏せられる体。 砕け散るプライド。 「……ふん、勝負は見えていた」 対峙する男はそっといたわるよう拳をさすると、背を向け立ち去った。 敗者が生まれ、勝者は去った。 盗賊ロボ「うははっは…はははははは!! おらどうしたよ、ええ!? はははははは!!!」 ???「ぁーーーー…」 男はただ“あ”とか“う”とかを延々と口に出していた。 ぴくっと一度痙攣したかと思うと、男は立ち上がり、盗賊ロボに三度近づいた。 盗賊ロボ「あっひゃははははっははははははははは!! は?」 大五郎「いてぇだろてめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 今度は盗賊ロボが宙に舞った。 盗賊ロボは二度と鞭を振るうことはなかった。 大五郎「……くそっ、手ぇ痛ぇじゃねぇか」 次回予告 広大な荒野、メガロポリスのファーストエリアで、男は背負う。 男が何かを背負う時、それは覚悟を決めるとき。 見せろ大五郎の必殺拳! 次回『その拳、ただ重く』 大五郎が通る!・SSに戻る back
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救急車 赤と白が対峙していた 数分の睨み合いの後 赤――――赤いマントを着た男が口火を切った 「赤いマントはご入用ですか?」 まるでセールスの売り込みのような口調だが、目に宿るのは純然たる狂気 その問いに白――――白衣を着た男が答える 「赤、ねえ」 「悪いけど好みじゃないなあ、俺は清廉な純白が好きなんだ」 愛おしそうに白衣の裾を撫でる 赤マントはあからさまにがっくりと肩を落とした 「・・・残念、僕は赤が好きなんだけどなぁ・・・ 赤は素晴らしいのに・・・ 輝くほどに鮮やかな、原初の色・・・・ 人間の体の中で一番美しい、鮮血の色・・・ どうして分かって貰えないのかなあ・・・」 語りながら、赤マントの言葉は熱を帯びてくる 湧き上がる脳内物質に、その瞳も当然とした色に染まる 「そうだ!僕が教えてあげよう! 赤の素晴らしさを!美しさを! ――――とりあえず、染まれェェェェッ!!」 叫んで、ナイフを抜いた 「ふん」 赤マントの狂態を、白衣の男は鼻で笑う 「知ってるか、赤って色は禁止とか失格とかによく用いられるんだぜ。信号機とかな。」 「黙れェェェッ!!!!!」 赤マントの凶刃を男は身を捻ってかわす 「・・・伝説通り、完全に正気じゃないね ならばこの俺が相手をしてやらねばいけないのは、全くの自然だ」 パチン、と男は指を鳴らす 「黄色の狂気がお相手しよう ――――来い、<イエロー・ピーポー>――――」 ピーポー・・・ピーポー・・・ 突如あたりに響き渡る、サイレン ――――現れたのは、一台の救急車 しかし普通の救急車とは決定的に違う点がある その、色 狂ったような、黄色 狂気じみたそのカラーリングは、明らかに一般の患者の搬送を意図したものではない 赤「ハッ!どうしたァ!その救急車で運んでもらおうってかぁ!?」 白「いや、こいつは『運んで行く』んじゃないよ 『運んで来る』んだ」 ゆっくりと、後ろのドアが開く そこから現れたのは―――― 「(^p^)あうあうあーwwwwwww」 「(^p^)ぱしへろんだすwwwwww」 「(^p^)おちんちんびろーんwwwwwおちんちんびろーんwwwwww」 「(^p^)おぎゃーおぎゃーwwwwww」 数多の狂人達 赤「なッ!?」 白「<イエロー・ピーポー>は正常と狂気の狭間の橋渡し役だ お前如きの狂気を飲み下すのは容易いんだよ ――――殺れ」 男の号令とともに救急車から狂人が殺到する 「クソがッ!!」 赤マントはナイフで応戦する が、 「(^p^)あうあうあーwwwwwww」 「(^p^)ないふwwwいたいのれすwwww」 殺せど殺せど、狂人の数は一向に減らない 見れば救急車のドアからは既に規定乗員数を遥かに上回る数の狂人が這い出してくる 既にその数は数百にまで達していた 白「・・・・もういいだろ ――――食っちまえ」 赤「がッ!?があああああああァァァ!!?」 「(^p^)あうあうあーwwwwwww」 「(^p^)あうあうあーwwwwwww」 「(^p^)おにく、おいしいのれすwwwwwww」 「(^p^)ぱしへろんだすwwwwww」 「(^p^)おちんちんびろーんwwwww」 夜の空に、肉の咀嚼音と男の悲鳴が響いていた 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
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「行くぞ牛!”肉 陣 展 開”!」 わしの周りに浮遊する数十個のハンバーグ。 「ハッハッハッハッ!そんな肉があなたの真の力か!とんだハンバーグ専門店だねぇ!」 「試してみるか?このふぉーめーしょんの力」「ふん、一瞬だよ、そんな陣」 先ほどと同じく全力で突進してくる牛男。芸が無いというか何というか…若干あきれるわい。 「さぁ!吹き飛べ!タウロス・ハリケー…!?」 猛烈な速さで突進してくる牛男は、浮遊するハンバーグ3枚によって止められた。 そのハンバーグは…黒い。 まさしく黒焦げになり硬くなったハンバーグはいとも簡単に牛男の突進を止めた。 「なっ…馬鹿な!私の力で…こんな肉を崩せ…ない!?」「ウェルダンの焼き方を甘く見るでないぞ…若牛よ」 わしはさらに2枚のハンバーグを牛男に寄せる。そしてなつかしき必殺技を叫ぶ。 「爆ぜるがよい!”肉芯炎爆”!」ボハァァン! 「!?ぬぐぁぁ!!」わしが叫ぶと、ウェルダンの3枚とミディアムレアの2枚、合計5枚が爆発を起こす。 「くぅ…ぬぐぅ…」「ほぅ、まだ立てるか。ならばこれでとどめと行こうかの」 そう言ってわしは真の切り札に力を入れる。 「…さすがにこれはちとキツイのぅ…!ぬんっ!”大肉塊移動”!」 わしの言葉の後、すぐに牛男の悲鳴が聞こえる。 「!!?ぬっ!?ぬおぉぁぁぁお!」 …契約者の作りだした、特大ハンバーグにつぶされて。 わしの切り札。それは意図せずに生み出されたものではあるが活用し甲斐のある物だ。 何kgあるだろうか。そんなのんきなことを考えながらわしは目覚めを待つ。 「…ぐっ!こんなもの・・・っ!すぐに吹き飛ばして…!」「…そうはイカ下足の唐揚げってもんだな」 爺さんでも、牛男でもない声。そう、まさしく『俺』の声。 「馬鹿なッ!君はさっき気絶したはず…」「爆発とかの音がうるさくてな。目が覚めちまったよ。…まぁこの状況ならこれで十分か」 いつの間にか雨はやんでいる。俺はハンバーグから降り、指を構え…そして、 弾く。 「丸焼けだぜ!”包 炎 焼 肉”!」 俺の指が鳴るとともに牛男の上のハンバーグに火が灯る。さっきの比じゃないくらいの剛炎をあげ…不審火で通報されないか? 「うあぁ!ぬあぁ!熱い!くあぁ!あの時と…あの時とぉ同じぃ!」メラメラと燃え盛る炎はハンバーグと牛男を燃やす。 そして力尽きた牛男は投げ飛ばそうとしていた巨大なハンバーグに押しつぶされ――――消失した。…この場合の表記は焼失のが正しいのかもしれないが。 「爺さんよ…あんな技あるなら最初からやってくれよ…」「いや、あれをやるとお主がつまらなくなるからのぅ」 …俺、死にかけたんだけど。つまらないとかいう問題じゃないんだけど。 「まぁ、1回目の速さにわしが追いつけんかった、というのが本音じゃ。あやつがもうちょいと遅ければ肉を挟めたのじゃが…」 ぐぅ。話をしていると、俺のおなかが鳴った。まぁあんだけのハンバーグを作れば当たり前だが。 「まぁとりあえず店長たちに報告だ。腹が痛いし腹減ったし」「食うか治すかどっちかにせんか、莫迦者」 …あの店で食う気は何となく無い。この前の『つくばぁぐ』の二の舞な気がする。 とにもかくにも報告のため、俺たちはレストランのある南地区へと向かった。 前ページ次ページ連載 - わが町のハンバーグ
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「はぁっ、はぁっ、はぁっ」 男は、追い詰められていた。 どれだけの間走ったのか分からない。何度無様に転んだかも分からない。 ただ、逃げ続けていた。 “ヤツ”から逃れるために。 「………!!」 逃げた先には、古ぼけた大きな壁が聳え立っていた。 咄嗟に近くに転がっていた鉄パイプを拾って殴りつけるが、びくともしない。 「くそっ………くそ、くそっ!!」 自棄になったように何度も壁を殴りつけるが、僅かな破片が落ちるばかりで崩れる気配はない。 それでも男は何度も壁を殴っていたが、背後で土を踏む音が聞こえ、その動きが止まった。 「……おい、つい、た」 抑揚のない声に、弾かれるように振り返る。 小柄な少年が、そこにいた。 布切れというほうが正しいくらいのぼろぼろの衣服、がっと見開かれた瞳孔。 痩せ細った四肢に似合わない大きな鉈を引き摺り、ぺたりぺたりと近づいてくる。 「おま、え、ころす」 「……ふざけるなっ!!!」 逆上した男は、持っていた鉄パイプで少年を殴りつけた。……いや、殴りつけようとした。 鉄パイプは、確かに少年を捉えた。しかし、ダメージを与えることはできなかった。 手ごたえが全くなかったのだ。まるで彼に当たる直前、威力を殺されてしまったみたいに。 「ひっ……!?ぎゃっ!!!」 お返し、といわんばかりに、少年は鉈で男を殴りつけた。 男は膝から崩れ落ち、ぼたぼたと地面に血が落ちる。 「あ……が……」 崩れ落ちた男に向かい、少年が歩を進めた。 男は恐怖の表情を浮かべ、必死に這って逃げようとする。 「や、やめろ……来るな、来るなっ…」 壁に背がつき、退路が断たれる。 それでも男は逃げ続ける。 「…た、頼む……たすけ、助けて…」 男の懇願も空しく、少年は鉈を振り上げる。 「し、ね」 「―――ぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!」 男の悲鳴に応えるように、錆びついた鉈が月明かりを受け、煌めいた。 数時間後、少年は跡地の廃ビルの屋上にいた。 「ころ、した。ころした。カチ、ナが、ころし、た」 仄明るい空を見上げ、そう呟いている。 肩に担がれた鉈には真新しい血がべっとりと付着しているが、気にする様子も拭き取る気配もない。 ぽたり、ぽたりと垂れた血が、コンクリートに落ちて赤い水溜りを作る。 「…めい、れい。カチナ、の、めいれい。かんけいしゃ、ころす」 ぽつりと呟くと、ぼろぼろになった爪を口元に持っていき、噛み締めた。 「カチナは、めいれい、を、きく。カチナは、ころす。みん、な、ころす」 まるで壊れたレコードのように繰り返しながら、がじがじと爪を噛む。 「……カチナは、カチナシ。めいれ、いを、きく、へいき」 ばき。と、噛まれて折れた爪が音を立てた。 壊れた戦力外兵器-カチナシ- 『――次のニュースです。 今朝未明、ストラウル跡地で、男性の変死体が発見されました。 遺体は頭部に殴られたような傷がある他、大型の刃物のようなもので斬られた傷があり、 警察は遺体の状態からここ数日の連続無差別殺人事件と同一犯による犯行とみて、被害者の身元確認を急いでおります……』
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目を覚ました男は私の姿を見つけると、すぐに突っかかってきた。 状況を簡単に説明すると、 ここはとある廃ビルの一室。 男はホスト崩れのヤクの売人。 男をここに運び込んだのは私。 そして、私はスーパーガール。訳あって『悪い男』を殺さなきゃいけないんだけど。 私はいきがる男の鼻っ面を人差し指でピンと弾く。 殺してしまわない様、あくまでも軽く。 グシャ! 文字通り男の鼻がへし折れ、顔にめり込んだ。 せっかくのイケメンが台無し(笑) 「まずは動けないようにしないとね」 私は右手の親指と人差し指を、顔を抑えうずくまる男の太腿に宛がう。 ズブ・・・ 私の指は衣服を皮膚を筋肉を突き破り、あっという間に骨に到達。 ベキベキッ、グシャァ 指先で直接骨をへし折り神経を磨り潰す。 ギャーと男の悲鳴。 我ながらコレは痛そう(笑) ベキベキッ、グシャァ 今度は左手の指で反対の脚を同じように直接へし折る。 動けなくなった所で、さ~て次はどこを攻めようかな? 「脚の次はやっぱり腕だよねぇ」 私は男の右手を握るとゆっくりと掌を閉じていく。 彼に骨の圧し折れる音を聞かせるように。 ぐちゃっと手のひらが完全に潰れた所で、次は前腕部。 両手で前腕部を握ると雑巾を絞るように絞り上げた。 ベキベキッ! まずは1回。 ベキベキッ! 2回目。 ブチブチブチッ! 「3か・・・・・・あ・・・・・・!?」 男の前腕が捻じ切れてしまった。 腕から勢いよく血が噴出す。 「あちゃー、やっちゃった・・・・・・」 このままでは出血多量で死んでしまう。 てか、『悪い男』には死んでもらうんだけど、こんな死に方してもらっては困る。 うーん、どうしようかな・・・・・・? 「あ、そうだ!」 私は間近の壁を殴りつけた。 ボゴォッ! コンクリートの壁を粉砕し中の鉄筋がむき出しになる。 「これでいいかな」 私は壁の中から鉄筋を一本取り出すと、左手で目の前に掲げた。 そして右手でそれを握り潰さないよう用心しながら上下に擦りあげる。 シュシュシュシュ・・・・・・ ヒュンヒュンヒュヒュン・・・・・・ どんどん右手の速度を上げていく。 スーパーガールの莫大な運動エネルギーが摩擦による熱エネルギーに変換される。 あっという間に真っ赤に熱せ上げられた鉄筋の出来あがり♪ 「おーい、まだ生きてるー?」 それをぐったりと項垂れた男の右手に押し当てた。 ジュウと肉が焦げ男が悲鳴を上げた。 良かった、まだ生きてた♪ 鉄筋で念入りに患部を焼き固めて止血終了。 次は左手。 「右手が無くなって不便だろうから、左手の関節を増やしてあげる♪」 ベキッ、ベキッ、ベキッ・・・・・・ 指先から始めて、30箇所ほどへし折った所で肩部に到着。 「ちょっと増やしすぎちゃったかな?って・・・・・・あれ?」 「ちょっと、聞いてるー?」 男の耳をつかんで頭を揺さぶる、耳が引きちぎれた。 しかし男のリアクションが無い・・・・・・ もしかして死んじゃった? 耳を澄ましてみる。心臓はまだなってるみたい。 まだ、死んではいない様だが、彼は完全に壊れてしまったようだ。 うーん、どうしようかな? このまま放置しても死んじゃうんだろうけど、もしかしたら私が殺したとカウントされないかもしれない。 あ、そうだ、あれやってみよう♪ 「それじゃ、最後にしようか」 私は壊れた男を立たせると、1mほど距離をとった。 立たせてると、言っても両足は使い物にならなくなってしまってるので 先ほど壁にあけた穴の鉄筋に引っ掛けてるんだけど。 「最後は痛くないよ、多分」 私が考えた最後の処刑法、それは『スーパーガールのフルパワーで思いっきりぶん殴る』だった。 どうなるのか私にも想像つかない。 とりあえず『痛い』と感じる前に死んでしまうのは嘘じゃないだろう。 まあ、一度くらい試してみてもいいよね。 彼には今まで散々手加減してあげたんだし(笑) 「それじゃあバイバイ、来世では『良い男』に生まれ変わってね」 私はそう言うと男に向かって拳を大きく振りかぶった。 おしまい